クリスマス・ハネムーン【ML】
 
 それに、何よりも。

 僕に黙って、こっそり嫌酒剤を飲ませた、ハニーのやり方が、悲しかった。

 大方、ここに来る時に。

 飛行機の中で、僕が勝手にワインを頼んでたのを見て、ダメだ、と思ったんだろう。

 しかも、結局。

 禁を破って酒を飲んだ、僕が全面的に悪いんだけど!

 嫌酒剤を服用した挙げ句、酒を不注意に飲んだら。

 こんなに辛くなるのも、ハニーには判っているはずで。

 一言ぐらい、何か言って行っても良いじゃないか……!

 と、心の中で叫んでた。


「う……ぁ」


 冷や汗を流しながら、ようやく。

 胃の中のものを吐き尽くし。

 ふらふらと、倒れそうになった所を、佐藤に支えられた。

「相模さん!
 こんなところで、寝転がっちゃダメですよ!
 せめて、部屋まで、歩いて!」

「佐藤……うるさい……」

「もう!
 仕方ないひとですね!」

 口で文句を言っても、結局。

 ちっともカラダが動いてくれなくて。

 ずるずると、その場で座り込みそうになった僕を。

 とうとう佐藤が担ぎあげ……その目を見開いて、言った。

「軽っ!
 なんて華奢な……まるで……」

「……女みたい、だなんて言ってみろ!
 いつか、殺してやる……!」

 佐藤の様子に、そう睨んで見せても。

 かすれる小声じゃ、迫力なんて出やしない。

 それでも、佐藤は、僕の気持ちを汲んだらしく。

 それ以上何も言わずに、僕を部屋まで連れて行くと、ベッドに静かに降ろし……そして。




 僕の服を、脱がしにかかりやがった。
 
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