クリスマス・ハネムーン【ML】
 まだ、状況がわからずに。

 クビを傾げている佐藤に、ハニーの目がきらり、と光った。

 ま……マズい!

 ハニーのコトだ。

 僕と違って、いきなり、暴力に訴えることはないだろうけど!

 感情に走って、言っちゃいけないコトを叫んだりしたら……!

 僕はまだ、気を抜けば上がって来る、胃の辺りの不快感を抑えて。

 ハニーと佐藤の間に割って入ろうと、ベッドから慌てて立ち上がった。

「ハニー!
 あんたは、きっと誤解を……!」

 と。

 僕は、そのセリフを全部言うことなんて、出来なかった。

 なにしろ。

 僕を取り囲む全世界が、ぐらり、と、傾いてしまったから。

 ……いや、それが。

 本当は、僕自身が倒れてるんだ、と判った頃には。

 ハニーが、立ちくらみで崩れてゆく僕のカラダをしっかりと抱き止めた。

 そして。

 僕が、口をふさぐ間もなく……宣言するように、言った。



「螢は……この人は。
『私だけのもの』だ。
 だから、佐藤君にも。
 いや、誰にも触らせる気は、ない。
 本当は。
 誰の目にも触れさせたくないほど。
 ……愛してるんだ」














 
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