クリスマス・ハネムーン【ML】
 
 ……って、んなこと判ったって!

 言葉が判らなければ、どうしょうもないじゃないか!

 もう少しで、ハニーが帰るはずなのに!

 早くハニー、来ないかな?

 この際、電話の内容が判るなら、佐藤や、ジョナサンでも良いんだけど!

 なんて、願っても、現実は、そんなに都合良くない。

「~~!!」

 話が通じなくて、相手は、だんだんイラ立って来ているのは、判る。

 ますます早口で、怒鳴って来るんだもん!!

 面と向かって、身ぶり手振りを交えて喋れば。

 おぼろげながら判るつもりになる英語も、電話の声だけでは、本当に全くお手上げだ。

「あい、きゃん、のっと、すびーく!
 ゆー、きゃん、すぴーく、すろーりー、あんど、くりありー……」



 がっちゃん!



 相変わらず、何を言ってるのか全く判らない僕が。

 もっとゆっくり、キレイな発音を頼もうと、適当な単語を並べている途中で。

 相手は、乱暴に電話を切ってしまった。


 ……ココロの狭い、短気なヤツだ!

 言葉の判らない外国人には、もう少し、親切にしてもバチは当たらないぞ!

 相手の対応に、僕の方もムッとして。

 乱暴に受話器を戻したそのときだった。

 それを待ってたかのように、すぐ。

 また、電話が鳴った。

「………はい?
 だから、僕は、英語なんて、判らないってば………!」

 キレて日本語で怒鳴る僕に。

 今度は、日本語が返って来た。

 佐藤の声だ。

 さっきの英語のヤツと変わらない切迫感で。

 僕の耳元で怒鳴るその内容は……



「大変です!
 相模さん!
 霧谷さんが、さらわれてしまいました!」




 なんだって!?


 
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