カウントダウン
「ケンカ……ですか……どうして」
何も知らなかった。祐介も悠斗もそんな態度は見せなかったから。
今だって仲良くサッカーしてたし……。
真相が知りたかった。でもそれは室内に入ってきた悠斗と祐介を含む程よく汗をかいた人達によって遮られて……。
「翔さん、アイス!!」
「あははっガキかよテメェラ。好きなの持ってけ」
その合図に冷凍庫から取り出して、悠斗は当たり前のように私の右側に座って肩を抱いた。
そして、祐介はそんな私の左側にドンと座る。
悠斗も祐介も二つに割って食べるアイスを選んでいて同時に私の前に半分差し出していた。
翔さんは悠斗のアイスを受け取れと私に目で訴えている。
このアイスを受け取るという事は、二人のどちらかを受け入れていく事と同じようでいたたまれなかった。
どっちを取ることも出来ない。
それは、二人を天秤にかけてしまった私の末路のようで、どの答えが正解なのか分からなくなった。
そんな私にニコニコのかわいい笑顔を向けてくれる茉莉さんがアイスを半分私に差し出してくれて、それをありがとうという言葉とともに受け取れば、それこそが本当の答えのような気がした。
悠斗とはこんな気持ちのまま付き合っていく事は出来ない。
だからといって祐介を受け入れる事は、祐介にとって酷な選択になる。
上手くいかない。
人を好きになる事は、苦しい事があることを知っていたけど、もっと穏やかな恋をするものだって思ってた。
受け入れてはもらえないような恋ばかりして、苦しいだけじゃ、もう疲れちゃうよ……。