カウントダウン
「で、何があった?あ、せんべい食う?」
「何もねぇよ」
心配してんのか、からかいにきたのか知らねぇけど、ふざけた態度が気に入らねぇから奪い取るようにせんべいを引ったくって音をたてて食ってやった。
「祐介はぶっきらぼうで不器用だからなー。いいか?女を本気でおとしたいなら一世一代のアイラブユーが必要なんだよ。オマエ、彩音ちゃんにちゃんと誠意を込めて告白したか?」
「んなの、兄貴にカンケーねぇだろ?」
「あるよ!だって美空があんな妹が欲しいってはしゃいじゃってよ〜。なんでも声がかわいいとかで」
「俺のためじゃねぇのかよ。てか声だけじゃねぇよ」
「あ?何が」
「何がってなんだよ」
「何が声だけじゃねぇの?」
「……」
「な・に・が?ほらオニイチャンそーゆーの分からないから、ん?なにが?」
「っとにウゼェ!!彩音がかわいいのは声だけじゃねぇって言ったんだよ!!」
「ふうん、素直でかわいいなぁゆーちゃん♪」
「……」
「そんなに好きならモタモタすんなよ。誰かに取られたらどーすんだよ」
「……取られるどころか彩音は悠斗の女なんだよ」
「……は?……え?……ちょっと待って、落ち着こうか」
「テメェが落ち着けよ」
「悠斗ってオマエのダチの?」
「そーだよ」
「……いつから?」
「去年の夏休み辺りから?」
「え?もう一年近く前じゃん」
「だったらなんだよ」
ヘラヘラとふざけてた兄貴は急に真面目な顔つきをした。
兄貴もかよ。
どうせ俺に諦めろとか言うんだろ?
だから嫌だったんだ。