カウントダウン


無償の愛なんて求めてるつもりなんてない。


冷たくしてるだけでも、他の女しか構ってない訳でもない。


好きな気持ちを言葉で伝えてるし、抑えきれない感情を表すように何度もキスを繰り返してる。



あの情熱は他の女には与えてねぇし、何よりアイツが俺に応えるキスは誰にも真似出来ない。


俺達は、これで良かったんだ。


俺だって、祐介に指摘されるまでもねぇよ。1年、彩音が俺についてきてくれたら


そん時は誰よりも深く、誰よりも優しく彩音を愛そうって思ってた。



……祐介さえ、彩音にちょっかい出さなければ。



「……祐介、お前には分かんねぇだろ?実の親にも愛されもしない俺を、アイツだけは損得なしに俺を見てくれてんだよ。手離したくねぇ」


「……自分の気持ちだけかよ。悠斗は彩音の気持ちを考えた事は一度も無かったのかよ」


「……俺だって、悪いとは思ってる」


「悠斗……俺、片想い歴は長いケド、彩音の事知らない事ばっかだった。アイツも両親と一緒に住んでねーのな」


「……ああ。だから余計に俺の気持ち理解してくれてんのかも」


「ならなんで悠斗は彩音の気持ちを理解してやらねぇんだよ。彩音はきっと、悠斗に捨てられるのがどーしようもなく怖かったんだよ。


親もいなくなって、好きになった男までいなくなるのが、どーしようもなく怖くて仕方がなかったんじゃね?


端から見ると馬鹿みてーに必死にしがみついてるけど、彩音だって悠斗が感じたみたいな愛情が欲しかったはずだよ



なんで悠斗は気付いてやらねぇの?


なんで好きな女泣かせて平気な顔してられんだよ。


悠斗はそんな男じゃなかっただろ?仲間ん中じゃ誰よりも優しくて、俺……あんなに自然に人助けが出来る悠斗が羨ましかった。スゲーって思ってた。


なんでそんな男が大切な女を大事にしてやれねーんだよ。



頼む、彩音を俺にくれ。彩音が欲しくてしかたがねーんだ……」



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