カウントダウン
「……何もかも持ってる祐介には分かんねぇよ」
「あ?なんだそれ」
「親や兄弟が当たり前に傍にいる温かい家庭で育った祐介にはきっと感じる事が出来ねぇ」
「何がだよ」
「……もうすぐ俺と彩音は1年だ。これだけの長い期間、彩音はどんな俺でも見捨てずにひたすら愛してくれた。
どれだけ冷たくあたっても、嘘の言葉を並べて他の女と比べるような事をしても、アイツが見てるのを知ってて他の女とイチャついても、
彩音は必死に俺を求めて、俺を愛して……心の底から叫ぶんだよ、
この俺を必要だって」
「……っざけんな」
「知ってるか?彩音が嫉妬して泣きながら俺を見るあの表情……
言葉じゃ表現出来ねぇくらい最高にかわいくて、綺麗で……スゲェ満たされる」
「ふざけんなっ!!」
「ふざけてねぇよ」
祐介の言いたい事はなんとなく分かる。
彩音に酷い事をしてる自覚だってある……この俺でも。
「要するにアレかよ、嫉妬させたくて他の女構ってるってヤツ?それなら本当に他の女とヤらなくてもいーんじゃねぇの?」
「他の女相手にして初めて分かるんだよ、彩音の良さが」
「バカじゃねぇの?他の女なんて見るまでもねぇよ」
「だから、お前には分かんねーって」
「分かりたくもねぇよ。悠斗、彩音はガンジーでもマザーテレサでもねぇんだよ。
……母親でもねえ。無償の愛なんて、求めんなよ」