カウントダウン


昼食を食べながら何かを考える優衣に少し不安になって声をかけたら、ゆっくりとまるで謎をとく探偵のように口を開いた。



「あたしが彩音の立場だったら、間違いなく“あ、この男あたしに惚れてんな”って自惚れるよ。だって必死にお弁当作れって言ってきたりデートに誘ったりしたんでしょ?」



「それは違うよ。祐介は悠斗の友達だし、友達の彼女だからってのもあると思う。私が悠斗の彼女じゃなかったら声もかけなかったんじゃないかな?なんせ人体模型に名前つけちゃう変人だし」



「そこなのよ、気になるところ!あのね……悠斗君と祐介君って、ただのクラスメイトじゃないんだよ」



「なにそれ?」


優衣の話は、実際優衣が見た事と人から聞いた話を教えてくれた。私の知らない、悠斗の話。



悠斗と祐介は中学から一緒だった。中学の時から仲良かった先輩がいる溜まり場によく行ってるらしくて、その先輩っていうのは優衣の彼氏の友達(爽やかな先輩とは別)。


「ごめんね、あたしもついこの前知ったの。たまたまその溜まり場付近を智也と通ってね、友達だって紹介されて。少し喋ったらあの2トップがいて」



智也っていうのは優衣の彼氏。ヤバいチームとかではないらしいけど、そこそこ怖かったって言うから色々あったんだろう。

その時に軽く悠斗の話を先輩に聞いたら、中学の時から仲良かったって教えてくれたらしい。


「智也先輩もそこによく行くの?」



「ううん。智也はまったく人種的に別。でも、その先輩と仲が良いらしくて。見た目は怖かったけどすごくいい人だった。あたしには見た目で判断して欲しくないんだって言って、智也の大事な友達を紹介してくれたんだ」


「へーいいな。大事な友達を紹介……か。私は一人も会わせてくれなかった。優衣たちを見れば見るほど、やっぱり違うって自覚できる」


「ああ〜違うよ、あたしは彩音を落ち込ませるために言ったんじゃなくて、そのチームの事を教えたかったの。チームには決まり事があるんだって」





< 58 / 149 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop