カウントダウン



「なんか、ごめんね噂話を鵜呑みにしちゃって。その好きな女の子に噂が届かないといいね」


「あー……、既に届いてたみたいだけど誤解は解いた」


「……そうなんだ。あ!私、祐介が噂と違うって学校のみんなに誤解ちゃんと解こうか?」


「いーよ別に。てか、俺の事より彩音の未来の就職先について聞きたいんだけど。キャンディに誘われたの?」


……私は、私の事なんかより、祐介の好きな女の子の話が聞きたかった。
同じ学校の女の子なのか、違うのか、とか、学年とか、大人の女性なのか、とか、悠斗は知ってるのか、とか、色々。


もう友達としての好奇心だけなんかじゃない。でも、これ以上祐介に踏み込んだら、また苦しい日々を送る事になる。


私はまだ悠斗とは正式に別れてなくて、だけど気付けば祐介を気にするようになっちゃってて。


なのに祐介は、ずっと誰かに片想いしていた。


結局祐介にとっての私は、悠斗の彼女ってだけだった。


だからこれ以上踏み込んじゃ駄目。


「キャンディ先生が高校卒業したら、専門学校を進めてくれたの。その後、ソレイユで働かないかって……」



必死に祐介からの質問に答えた。ショックなんて受けてる立場じゃない。


私は悠斗の彼女(名ばかりだけど)


そう、何回も呪文みたいに心の中で唱えた。


「だからか。俺キャンディの料理スゲー好きなんだよ。彩音の弁当、マジで美味いし、キャンディお墨付きなんだな。そっか、ソレイユで働くんだ?」


「うん、迷ったりもしてたんだけどね、私を必要としてくれたのが凄く嬉しくて……親にも疎外されてる私がね、キャンディ先生は必要にしてくれたの。だから、頑張りたいって思ってる」



私の夢を誰かに話したのは初めてだった。夢を話すってけっこう照れ臭いことなんだって事も初めて知った。


祐介は、いつもみたいに意地悪にからかうなんて事はしなくて、“俺もだよ”そう、言った。









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