ごめん、好き。


「沙織…」

「亮君、なにしてんの?」


言いながらユカに近づいた。

涙が止まらず上手く話せないユカ。


二人が話していたことはおおよそ見当がつく。


あたしが原因。


こないだのことを聞いてしまったから。


ユカが亮君と別れた後も彼を好きなのは、なんとなく分かる。

そんな簡単なものじゃない。

人を好きになって、好きじゃなくなるのなんて。


「話してたんだ。

 俺が、ユカのことどう思ってるのか」


亮君は本当に誠実な人。

自分から言いに来ちゃうんだもの。


あの時、あたしのことをどう思ってるか分からないと言ったのに。


分からないまま、ユカの元にきて、事情を説明しようとしてしまう。


優しくて、残酷な人。






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