パステルカラーの恋模様
「えっ?嘘!どこ高?」

「K高」

「嘘、じゃ、同じじゃん!」


全然知らなかった!

でも、一学年が8クラスもあったら、分かんなくて当然か。


何ていうか、本当、世間は狭い。

あたしはハッとした。


「あんた、だったら尚更言わないでよ?もし先輩の耳に入ったら、あたし学校行かないから」

「だから大丈夫だって言ってるじゃん。俺を信じなサイ」

「…信じる?…ああ~っ無理!何か無理!」

「何っでだよ!」

「だって…。でも本当にお願いするしかないわ。黙ってて。約束ね。絶対ね!じゃあ、あたし帰る」



あたしはトレーを持ち、立ち上がった。



「またね、美園ちゃん。あと、これ。あげる」


呼び捨てすなっ。

啓太が渡してきたのは、メアドとケー番が書かれた紙。

いつ用意したんだよ。


あたしはそれを受け取り、なんとも表情に困りながらも、あたしは「じゃあね」と言って背を向けた。



いらない、って言えばよかったのに。

受け取って、そのまま、ゴミ箱に捨てればよかったのに。

紙はポケットの中にしまわれた。



別に深い意味はないのよ?

ただ、何となくってだけ。本当に、それだけ。



ああ、やっと帰れる。



「またね」

啓太は繰り返した。



そう彼はこう言ったのだ。


『また』ねって。
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