パステルカラーの恋模様
「先輩って色々悪い噂が多いのね。女癖悪いとか、腹黒いとか。でもあたしはそんなの全部信じてないんだけど…。でも、あたしの友達は皆やめとけって言うわけなのよね」


「なるほど。複雑な状況なわけだ」


「そ。友達が心配してくれるのもありがたいし、好きな人のことは信じたいし、噂は増える一方だし…。何より、長い片思いだし」


「告白すればいいじゃん」

「無理!ぜぇったい無理!」

「何それ…面倒くさ。昨日、あんなに愛を叫んでたくせに」



うっ…愛とか言うな。


気がつけば身を乗り出していた自分に、またもや恥ずかしさがこみ上げてきた。

啓太の言う事はもっともだった。



本当、恋ほど面倒くさいものはないと思う。

自分を見失うし、焼もち焼いて苦しいし、失恋なんてしたら一週間は立ち直れない。



ていうか、何であたしこんな奴に恋の相談なんかしてんだろ?

何か話しやすくて、ついつい口が滑ってしまう。


話しやすい?何で?

気を使わないから?自分にとって、どうでもいい人だから?

それとも単純に、ウマが合うのかな。


そんな事を思うなんて、あたし、まだ酔ってるのかな。



「ていうかさ、その悪い噂のある、直樹先輩だっけ?」

「え?」

「俺、何か聞いたことあるんだよね」

「はぁ?どういう事?」

「その人さ、いつも帰りに校門の前でつるんでる?」

「何で知ってんの?!」

「ねえ、ていうかさ、もしかして俺たち、同じ高校かも」



何ぃ~?!
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