パステルカラーの恋模様
「私もお父さんも海外で…あ、お父さんの仕事の都合なんですけどね。本当は啓ちゃんも一緒にアメリカに住むはずだったんだけど、啓ちゃんがどうしても日本に残るってきかないもんだから…。私はもう心配で心配で…」


「は、はぁ…」


だから一人暮らししてるんだ、啓太!

すると啓太ママは、寂しそうな口調から、急に明るい声に戻った。



「でも、あなたがいるって聞いて安心したわ!美園さん、啓ちゃんのこと、好きなのよね?ちゃんと付き合ってるのよね?」


え…。

好きじゃアリマセン!付き合ってもイマセン!

だって違うんですもの、お母様。

私はあなたの息子さんと、何の関係もないんですもの!



あたしはまたしても啓太の方を見る。

すると啓太は手を合わせて、小声で「頼むっ」と片目をつぶった。


も~~~っ!


啓太も必死なのは分かった。

でも、何であたしが?!



「美園さん?」

「あっはい!もちろんです。だ、大好きです…」



ああ…あたしのプライドは何処へ…。



「まあ、嬉しい!美園さん…啓ちゃんをよろしくね。啓ちゃん寂しがり屋だから、傍にいてあげてね。私も3日に1回は電話するようにするから、二人の仲のいい声を聞かせてちょうだい。それから、たまに二人の写真なんかも送ってくれたら嬉しいわ。ねっ」



3日に1回もしなくていいから!

しかも仲のいい声って…、寂しがり屋って…。


「わ、分かりました」


とにかく電話を切りたい!!



「美園さん、本当にありがとう。それじゃあね、啓ちゃんによろしくね」

「はい。はい。はいー、では……」



ガチャ。
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