パステルカラーの恋模様
「ま、いいや!あっ、今日は64ページ入った。そこ、3行目まで確認したよ」

「サンキュ、後でそこまでの見せて」

「おっす」



明日香は笑って、体を元に戻した。

あたしは、顔の筋肉をゆるめて、顎に手をついた。


そして、シャーペンを手に持ち、窓の外を眺めた。



空が青い。晴れ。

今日はきっと星が綺麗だろう。



校庭では、他のクラスが体育でハードルを飛んでいる。

ガシャンっと音がして、誰かが転んだ。



その男の子に駆け寄る男の子を見て、あたしは思わず目を逸らした。




啓ちゃんだ…。




あたしはもう一度、窓の外へ目をやる。

男の子は思ったより重症らしく、啓ちゃんが肩を貸して、保健室に行くみたいだ。



優しい啓ちゃん。




あたしは、啓ちゃんが熱を出した時の事を思い出した。

啓ちゃんは照れながら、かっこ悪いってつぶやいてたよね。




啓ちゃんとの出会いは、本当に変だった。

目を覚ましたら知らない部屋にいて、隣で啓ちゃんが寝てたんだから。



あんな経験、きっとこれから先、する事ないんだろうな。



何こいつ、って本気で思ってた。

でも、だんだん、啓ちゃんから目が逸らせなくなったんだよ。
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