パステルカラーの恋模様
違う、違う!
啓ちゃんがどうのじゃなくて、あたしが観たかったから観るの!
あたしは自分にそう言い聞かせ、ずんずん前へ歩き出した。
色んな人と通りすがる。
部活のユニフォーム着てる子、制服だらしなく着すぎて先生に注意されてる子、嬉しそうに腕組んで歩いているカップル、本読みながら歩いている眼鏡の子、本当に色んな人がいる。
みんなそれぞれに色んな想いをしてるんだよなぁ。
もしかしたら、今この中に、あたしと同じように失恋した子がいるのかもしれない。
あたしは無意識に啓ちゃんを探している自分に気づいて、嫌になった。
階段を降り切り、下駄箱に向かってた時だった。
誰かに後ろから声をかけられた。
「上履きのかかとは、踏んじゃダメなのよん」
え?
あたしは思わず振り返った。
まさか…!