パステルカラーの恋模様

振り返って、あたしは眉を垂らした。

そしてすぐに眉をつりあげて睨んだ。




そこにいたのは、鮫島だった。



「…え」


あたしの表情に、鮫島は困惑している。

ロボットのようにかちこち動きながら、後ろ頭をかいて、わざとらしく笑った。



「いや、ごめん…。何かアイツの真似してみた」

「あっそ!」



あたしはツンっと背を向けて、下駄箱で靴を履き替え出した。



鮫島は「おい、何怒ってんだよ!」とあたしを追いかけた。

あたしは「別に!」と返し、スタスタ歩き出した。



やだ、あたし、啓ちゃんだと思った。

すっごい期待してた。



やっぱり、無意識に啓ちゃんを探してしまう。

会いたいと思ってしまう。



両想いじゃなくても、会いたいって。



そう思ったらまた泣けてきそうだったから、わざとらしく何度も咳払いした。

無視して帰ろうとするあたしに、鮫島が叫んだ。





「お前ら、何があったか知らないけどさ!」



思わず足を止める。



< 228 / 257 >

この作品をシェア

pagetop