パステルカラーの恋模様

「おーい、美園~?」

「へ?あっごめん!ぽーっとしちゃった!」



危ない、危ない。

またあたしは一人で妄想の世界にいっちゃっていたらしい。


啓ちゃんは、変なのと笑って、時計を見た。




「映画、チケット先に買っちゃおうか」

「あ、そうだね!」



今日は啓ちゃんが観たがっていた映画を観にいく事になっていた。

絶対一緒に観れないって思ってたから、今、すごい感動。



「んじゃ、行こ!」



そう言って、少し前を歩きだした啓ちゃんは、振り返って、あたしに手を差し伸べた。


「え?」

「え、じゃなくて、ほい」



えーっ!

…手ぇ繋ぐって事?


何かすごい、デートっぽい…!

あたしは顔を赤くしながら、そっと右手を出して、啓ちゃんと手を繋いだ。



すると啓ちゃんが、ぶはっと笑い出した。


「なっ、何?」

「美園、俺が右手出してるのに、何で美園も右手出してんの」

「へ?」



よく見たら、二人が同じ方の手で手を繋いでいた。

あたしはハッとして手を離した。

恥ずかし~!!



「あれっ?!」

「こ・う」


そう言って、啓ちゃんはあたしの左手を取って、自分の右手と繋がせた。
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