パステルカラーの恋模様
「あっ、美園み~っけ」

「げっ」


噂をすれば…。

そこにはふわふわとやってきた啓太がいた。

啓太はあたしを見つけて、嬉しそうにこっちに寄ってきた。



あ、制服初めて見た。

う…、に、似合う…ってそうじゃなくて!



明日香は目をぱちくりさせて、「ちょ、誰よっ?」とはしゃいで言った。

すると啓太が明日香に笑いかけて言った。


「どうも、うちの美園がお世話になってます」


なーっ?!


「あんたっちょ、バカっ!」

「うちの…?うちのって……えっ?!」


明日香があたしと啓太を見比べて、わざとらしく口を押さえてニヤニヤと笑い、「何、美園、どういうこと~?!」とあたしの肩をばんばん叩いた。



「ち、違うの、明日香!これは誤解……」


啓太はあたしの前の席の椅子に反対向きに座って、笑いかけた。


「あ、これちょうだい」


ちゃっかり、机の上のチョコレートのお菓子に手を伸ばす啓太。

マシュマロにチョコレートが入っているお菓子。



「……共食い」

「ん?」

「何でもない!何?何か用?」


『ああ、そうそう』という風に、啓太はブレザーのポケットを探った。


「美園に、コレ渡しにきたんだ。あい、あげる」



そう言って渡されたのは、小さな小箱。

リボンが巻いてある。




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