パステルカラーの恋模様

ポポがまた嬉しそうに吠える。

啓ちゃんはあたしの姿を見つけるや否や、目を細くして笑って、慌てて靴を脱いだ。



「ただいま」

「おかえり」



そう言って、笑い合うあたし達。

何だか本当の夫婦みたい。なんてね。



あたしは、紙袋を持って、啓ちゃんと向き合った。

啓ちゃんも、しゃきっと背筋を伸ばす。




「…えっとね、今日、バレンタインだから…はい」



袋を渡すと、啓ちゃんが「作ったの?」と目を輝かせた。



「うん」



啓ちゃんは何か今更顔を赤くした。


えっ!?

あたしはまさかの展開につられて顔を赤くした。




「えっ、なっ何、啓ちゃん…!」

「えっ、いや、何か…」



何でそんな照れてんの~?!

あたしはさらに顔から火を吹いた。




「嬉しい。ありがとう」

「うん…」



また照れる二人。

ピンクい空気が部屋中に広がった。




淡い春を告げるような優しい色。
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