パステルカラーの恋模様
あたしは早くこの二人を遠ざけようと、直樹先輩の背中をぐいぐい押して歩き出した。


取り残された啓太をちらっと見ると、相変わらずあたし達の背中をじっと見ていた。



……悪いけど、やっぱりあたしは直樹先輩が好きだもん。

あんたよりも。


あんたとはニセモノの恋人ってだけ。

だからあたしは直樹先輩の方へ一緒に行くの。それで間違ってないよね?



ちょっと気になりながらも、さらに歩みを進め、校舎裏まで来た。

啓太の姿はもうすっかり見えない。


校舎裏には花壇があり、フェンスの外はもう普通の道路だ。



裏に入ったからか、野球部やテニス部の掛け声や、ボールを蹴る音、吹奏楽部の練習など、色々な音が、少し小さくなったように感じた。


直樹先輩は、あたしの横のフェンスにガシャっと手をかけた。

びく!!


つい反応してしまう。ああ、あたし、今、先輩と二人っきりなんだ…。


「ねえ、美園ちゃん。アイツ、美園ちゃんの彼氏?」

「えっいや、全然。あれは、ただの…同級生です」

「ならよかった。俺、焼もち焼いちゃったよ」

「えっ…?」



それは、どういう意味?
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