パステルカラーの恋模様
「……どうせ話すんでしょ」

「んまぁね!あのね、あのね!先輩に誘われたの。二人っきりで、どこか遊びに行こうって!」

「へー。すごいじゃん。案外、うまくいくんじゃない?」

「本当?!本当にそう思う?!」



前に前に乗り出すあたしを、啓太は押し返すように「う、うん?」と曖昧な返事をした。


外が薄暗くなってきた。

そろそろ帰らなくちゃ。


今日は星が出るかな。

出たらいいな、何となくそう思った。



「あたし、本当に先輩をモノにできる日もそう遠くないかもしれないよね!」

「ん。ま、頑張って」

「あ、ちょっと…」



啓太はあくびをして、あたしの横を通りすがって言った。

ブレザーやら、ネクタイやら脱ぎ散らす。

しまいにはシャツまで脱いでしまい、上半身裸。


「ちょっ!何してんの、アンタ!」

「お風呂行って来まーす」



まだ5時ですけど?!

まったくマイペースすぎ。


「いってらっしゃい」


まったく変なヤツ。

その脱ぎ散らした服を拾っちゃうあたしも人の事言えないけどね。



直樹先輩への『好意』と啓太への『好意』は全然違うから、別に後ろめたいことは何もない。

そうだよね?






< 37 / 257 >

この作品をシェア

pagetop