パステルカラーの恋模様
すると啓太が立ち上がって、制服についた埃を払いながら冷たく言い放った。



「だったら、近づくなよ。あんたみたいな人、本気で好きになってくれる人なんていないよ。これからも、ずっと」


啓太……。

先輩達はちっと舌打ちをして、思い切り睨んで去っていった。



「……はぁ~」


啓太は口元の傷を触って、顔をゆがめた。

それから、立ち尽くして泣くあたしの顔を覗きこんだ。



「もう、大丈夫だから。怖くない、怖くない」


ぽんっと頭に啓太の手が置かれる。


「…ひっく…う~」

「泣かないで。ベロベロバ~」

「うう…ひっく…バカ…」



あたしは頭をわしゃわしゃされて、さらに声をあげて泣いた。

それから啓太に手をひかれてその場を離れた。



「ねぇ、やっぱり動物園のチケット返して」

「…ひっく…え?」

「1枚だけ」



手の中の招待券は、握り締めらてぐしゃぐちゃになっていた。



「僕も帰ろう、お家に帰ろう、でんでんでんぐり返して……」



啓太はあたしを励ますように、また変な鼻歌を歌っていた。



啓太と手を繋ぐのは2回目。

この前の時よりも、力強く感じた。


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