パステルカラーの恋模様
Chapter 3
くちびると傷
「啓太!次はゾウね!ゾウ行こう!」
「やだ!あっち。レッサーパンダがいい」
“お前みたいなガキ相手にするわけねぇだろ”
先輩にそんな風に言い放たれた次の日、祝日で学校は休み。
あたし達は、例の動物園の招待券で動物園に来ていた。
「あ、モルモットだ!いっぱいいる!何か、ちょこまかと落ち着きがないね」
「ホントだ。何か美園がいっぱいいるみたいだね」
「何をぅ?」
あたしはふっと啓太の口元に目をとめた。
啓太の口元は、あの時殴られた傷で赤く腫れている。
それを見て、あたしは昨日の事を鮮明に思い出す。
昨日は眠れなかった。
先輩の冷たい目が焼きついて、離れなくて。
哀しいというより、くやしかった。
だけど、もう忘れる決心はついたんだ。
でも今日はちょっとから元気。
啓太に心配かけたくないから。
啓太。
守ってくれた。かばってくれた。
殴られてまで、あたしの味方してくれた。
啓太の男らしい一面を見た気がして、何だか不思議な気持ち。
でも、嬉しかったんだ、あたし。
本当に嬉しかったんだよ。