パステルカラーの恋模様

「美園、何か飲む?」

「へ?」

「タピオカ?それともスムージー?」

「タ、タピオカ!」


啓太は「ちょっと待っててねん」と言って、ふわふわと売店の列に並んだ。

いつのまに売店の前に来たんだっけ?

あたしは昨日の事で頭がいっぱいだった。


椅子に座って待つ。

すると啓太がタピオカを二つ持って歩いてきた。


その途中、三人組の女の子達が、啓太の事を見てはしゃいでいた。

小さいけど、あたしには聞こえたよ。

“あの人、かっこいい!”って。


「あい、お待たせ。オレンジとミルクティー、どっち?」

「あ、じゃあオレンジ」

「ん」


片方をあたしに渡して、隣にどかっと座った啓太を見て、女の子たちは、「何だぁ~、彼女いるんだ」と肩を落としている様子。


ふふん、残念でしたね。

…ってあたし、何でちょっと誇らしげなんだろ?


「美園、オレンジ一口ちょーだい」

「ふえ?あ!」


速技!

啓太はすばやくあたしのストローを奪って、オレンジを一口飲んだ。

これって…か、か、か、間接チュー…?


「オレンジの方がタピオカがカラフルで綺麗だよね」って啓太がひひっと笑うけど、


あたしは何だかやたらドギマギしてしまって、「う、うん」としか答えられなかった。



大体全ての動物を見終わると、空が茜色に染まり出した。

カラスが鳴き、陽が落ちていく。



「ねえ、ここ遊園地もあるんだね?」

「え、そうなの?!」


啓太が手元のパンフレットを見て言った。

あたしも覗き込むと、確かに敷地内に小さな遊園地がついていた。


辺りをキョロキョロ見回すと、観覧車のような物を発見した。


「行こっか」

「うん!」

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