パステルカラーの恋模様
その時あたしは、初めてちゃんと柏木啓太の容姿を見た。


細いラインの体。

背は低すぎず、高すぎず。声は高すぎず、低すぎず。


髪は柔らかそうな栗色。整った顔。色白。

あたしは目の前の甘いマスクに一瞬見とれてしまった。


イメージで言うと、マシュマロ。

ふわふわしてて、軽そうで、地に足着いてなさそうで。でもほんのり甘くて、とろけそうな…。


って、あたし!気を確かに!



「お、覚えてないわよっ!あんた何が目的なの?!あたしを誘拐して…」

「は?」


あたしは携帯を取り出し、着信履歴を見た。


「うわ、お母さんから30件も入ってる…」



すると啓太があたしの携帯をひょいっと取り上げ、


「心配してるっしょ、お母さん」


と分かったような口をきいた。あたしは、無理やりその携帯を奪い返して、「アンタに関係ないでしょ!」と叫んだ。



「呆れた…。本当に何も覚えてないんだね」

「だから、何を?」

「昨日、あんたから絡んできたんだよ?俺に」

「えっ?」


「たちの悪いチンピラでさぁ。家出してきたんだか何だか知らないけど、図々しく部屋まで…」


ちょっと待って?どういうこと?


「未成年は飲酒禁止なのよん。分かる、君?」

「家出?飲酒…?あたし昨日……」



はっ!あたしはその瞬間、すべてを思い出した。


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