パステルカラーの恋模様
―…

「感謝状。ええ、柏木啓太殿、柚木美園殿。あなた方は、市民の安全、平和のために大いに貢献してくださったので、これを賞します。平成二十年……はい、ありがとう」


「どうも…」


さわやかな街のお巡りさんから、金箔の淵の賞状を授与する。

こんなの、本当にドラマのワンシーンみたい。



その瞬間、集まっていた野次馬から、うわーっと黄色い歓声が飛んだ。

「やるなァ、兄ちゃん、姉ちゃん!」とか、「よっ英雄!」とか。



は、恥ずかしい…。

いい事したのに何でこんな恥ずかしい思いしてんだろ、あたし?



柏木啓太が調子の乗って「最初に見つけたのは僕です!」とか言ったから、あたしは足を思い切り踏みつけると、奴はぴょんぴょん跳ねて顔をゆがめた。



何ですか、この一部始終は?


何てあたしが、見知らぬ部屋から見た、見知らぬマンションの空き巣を通報して、こんな商店街のど真ん中で表彰受けてんのよ~!



ああ、頭痛がさらにひどくなった気がする…。


でもこの商店街、学校の通学路で通るや。

辺りを見ると、知っている景色が広がっていたので、あたしは少しホッとした。



さあ、真相をつきとめないと。



騒ぎも大分収まってきた。

あたしは男を「ちょっと」と引き止めた。奴は相変わらずキョトンとしている。



「どういうことなの?何であたしがあんたの部屋にいたの?説明して!」


すると男は不思議そうな顔で聞き返した。



「何も覚えてないの?」


「え?」

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