パステルカラーの恋模様
ねぇ、啓太。

愛の意味、昨日一夜考えたけど、やっぱり分かんなかったよ。


やっぱり、難しいよ。

あたしは数学が嫌いだけど、よっぽど計算式の方が簡単に思える。



だけど沢山考えてるうちに、啓太ママの言葉を思い出したりした。



“人を好きになるのに、理由はいらない”。



それから、昨日、保健室で啓太に聞いた事。

未遂で終わったけど…。



やっぱり、ものすごく気になる。

だけど何となく、聞きたくない気持ちもあったりして。



あたしは一人百面相しながら、エレベーターに乗り込んだ。



ピーンポーン。

部屋の前につき、鍵を出す前に一応チャイムを鳴らした。



やっぱりまだ、この鍵でドアを開けるのには抵抗がある。

何だか恥ずかしい、というか、照れてしまう。



何だか、まるで同棲してるみたいなんだもん。

いやっ、これは例えだよ?!そう、例え…!



ピーンポーン。


…つか、出ない。


って、出なくていいんだ!

病人なんだから、寝ててもらわなくっちゃね。



そう思って、あたしが鍵を取り出すためにブレザーのポケットに手を入れたと時だった。
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