カモミール・ロマンス

スポーツデイ再び

そうです皆さん。

この季節がやってきました。

年に一度の大イベント「桜ノ宮大学附属高校スポーツデイ」の日が!!

「お忘れになっている方々の為に、ちょこっと説明をば」

急に教壇に立ったかと思うと、ナレーターばりのトーンで喋り出した元気。

「あいつ何やってンの?」

「さぁ?ほっとけば」

クラスの全員。

気持ちいいまでに誰一人として耳を傾けない中でも元気の心は折れない。

「桜之宮大学付属高校のすぽーつでいとは、年に一回一年生から三年生までがごちゃまぜになり一日中スポーツをして交流深めましょう!という目的のもと催されるイベントだ」

ちなみに元気は実行委員会でも何でもない。

「競技自体はチーム戦にも関わらず、毎種目毎にチームが変わり、その競技の順位で個人にポイントが加算されていく仕組み。

つまり運さえ良ければ運痴くんも強いチームにずっといたら個人優勝が可能という、よくよく考えたら素晴らしい得点方式になっている」

教壇で気持ち良さそうに喋る元気を横目にクラスメイト達は次の音楽の準備の為に一人、また一人と教室を去っていく。

そんな中でただ一人物思いにふけっているのか机から離れずに窓から外を眺めている人がいた。

無論、元気はそんなことに気がつかないし、仮に気がついたとしても弁舌を止めないだろう。

「一日中スポーツなんてかったりぃ。そんな我々高校生をやる気にさせるのが豪華賞品。

前年度の優勝者には鴨川シーワールドチケット、二位にはスターベックスクオカード、三位はメクドナルドのクオカード。こんな憎くい賞品用意されたらやるっきゃないでしょ!

いつやる気出すの?
今でし『キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン』

止めの全快物真似の台詞をチャイムに遮られ、元気はそれから3分くらい動くことができなかったそうな。

それを見ていたのは美咲だった。


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