カモミール・ロマンス
澄み切った青空に、ふわふわと綿菓子の様な雲が流れる。
「しーちゃん凄いね」
食べ終わった弁当をキャラクターの袋にしまう美咲がそう呟いた。
「うん、凄いよね。僕だったらもし道にすずめがケガして苦しんでたら、家に連れていって手当てしてあげるか分かんないもん」
翔は紙パックのコーヒー牛乳を、回し飲みしている直也に手渡す。
「いや、翔ならするんじゃない?オレだったら絶対しないけど……ってか自分で言うのもなんだけど、気付かずに通り過ぎそう」
直也の言葉に翔と美咲が笑う。
そんな中で勇気だけが真剣な表情をしていた。
それに気付いた翔が聞く。
「ユキどうしたの?」
勇気は空の綿菓子に手を伸ばす。
「ん、なんかさ。山崎さんて大人しそうなのに勇気あるんだな。って思って」
「そうなのよね。しーちゃんて自分のことには消極的だけど、他人とか動物とかそういうものの為なら凄い勇気が出るのよ」