鮮やかな傷痕
今夜の夕飯は肉じゃがだ
人参抜きの肉じゃがはどうも彩りに欠ける


「いただきます」
「……うめぇー」
この人は本当に美味しそうにものを食べる
子供のように無心に

そんなところも愛おしい

「旨かったぁー、
 あー、腹苦しい」

そう言ってあたしの肩にもたれる

あぁ、なんて愛おしい

問い詰めるなんて馬鹿なこと
争いたくない

すべて許すのは
私達が一緒にいる必要があるから

あぁ、なんて愛おしい

酔っ払うとあたしの髪を撫でる癖
笑うとなくなってしまいそうな目
長い腕、大きな手



今朝、飲み過ぎて帰ってきた彼の首元についていた
まだ消えない女の痕


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