借金取りに捕らわれて
腐れ縁の二人
お腹を満たしレストランを後にした私達は、 ホールで1階直通のエレベーターが来るのを待っていた。




とても素敵なレストランだったな。
雰囲気も窓から見える夜景も。

それに何よりお料理もワインも美味しくて。

また来たいな。でも予約取るの大変そうだけど。




贅沢な一時を思い返しているとエレベーターが到着し、秋庭さんに腰に手を添えられ、それはとても自然な仕草でエスコートされて乗り込んだ。



「ヒロ…」



エレベーターの中には他に人はなく、扉が閉まると真横に立っていた秋庭さんの顔が覗くようにだんだん近づいてくる。



「ちょ、ちょ、な、なんですか!?」



咄嗟に秋庭さんの胸を両手で押し止めそれを阻んだ。



「キスだけど、何か問題?」


「問題です!」


秋庭さんは私の反論に眉をしかめる。


付き合った途端(仮だけど)こうも迫ってこられるのは…

まぁ、迫ってくるのは今に始まったことじゃないけど、これからが凄く心配になる…



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