借金取りに捕らわれて
「ヒロ。先ずは、俺に捕らわれたら二度と逃げられないっていうことを教えてやらないとな。」




えぇぇぇぇぇーーーー‼‼‼


二度と!?




「3ヵ月の期間は!?」


「マサ、今日はヒロの家に泊まっていくから帰っていいぞ。」


「秋庭さん話聞いてます!?」



てか泊まるんですか!?

家主の承諾なしに!?



「承知しました。」



マサさんはそれだけ言うと車に乗り込んでしまった。



「秋庭さん!放して下さい!」



足をばたつかせ暴れるが、逞しい腕が檻のように私を捕まえて離さない。



「放してやるわけないだろ。」



秋庭さんはニヤリと笑った。




この目は…

3ヵ月後に仮の付き合いを解消したいと言ったら承諾するような目じゃないよね…



承諾して早々、既に後悔の念が沸き上がっていた。

一歩を踏み出すにしても、もう少し考えるべきだったのかもしれない。

どこにでも踏み入れてはいけない場所というものはあるもので…
私はわざわざその踏み入れてはいけない場所に、今まで止まっていた足を一歩踏み入れてしまった気がする…




逃げたい…

けど、もう逃げられないのだと悟る私がいた。

甘い檻の中、私は借金取りに捕らわれてしまったのだから。









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