本虫図鑑

俺の明日を表すかのような曇天。
靴が地面のコンクリートに擦れ、歩調にあわせて鳴る。
お線香のかおりを香せながら職安へ歩を進める。

そんな勇み足を背後から追い越す者がいた。
白い息をふんふんと弾ませながら本を数冊抱えて、俺の横を走り去ったのは女子高生。

だったのだが、足を縺れさせて転倒してしまった。
本は散らばり、靴は片方脱げる有り様。
思わず立ち止まって、様子を窺ってしまった。
< 7 / 7 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop