本虫図鑑
俺の明日を表すかのような曇天。
靴が地面のコンクリートに擦れ、歩調にあわせて鳴る。
お線香のかおりを香せながら職安へ歩を進める。
そんな勇み足を背後から追い越す者がいた。
白い息をふんふんと弾ませながら本を数冊抱えて、俺の横を走り去ったのは女子高生。
だったのだが、足を縺れさせて転倒してしまった。
本は散らばり、靴は片方脱げる有り様。
思わず立ち止まって、様子を窺ってしまった。
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