あの頃から君は
「え、まじで大丈夫?気持ち悪いの?腹痛いとか?」

 男子が隣に座り込む気配を感じた。最悪だ。背中に手が当てられ、ゆっくりと擦られる。

「動けないなら先生呼んで来ようか」
「だ、大丈夫だから!」

 美羽はうずくまったまま慌てて返した。口を開いた拍子に、堪えていたものが喉から迫り上がり、鼻の奥がつんとして、ほろほろと涙がこぼれる。

「だ、だい、じょうぶ、だから、放っておいてよお!」

 突然わあわあと泣き出した美羽に、男子は驚いて狼狽えるが、まごつきながらも美羽の背中を擦り続けた。

「泣いてんのに大丈夫な訳ないだろ」
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