BLACK BLOOD
闇の中の闇


「国家が莫大な予算を支払うことで必ず戦争に勝つことができる」

…と噂の武装チームがあるという伝説

『BLACK BLOOD』は存在する。

…人の想像とは全く違う形で。

噂だけで聞いた者の想像図は粗方

目付きの頗る悪い大柄な男の集団

…といったところだろう。



……―――「オイコラ朔夜!!

お前が居なきゃ成り立たねーんだから

最前線に出てくんじゃねーよ!!」

「嫌だ、腕が鈍る。」


金髪に近い色素の薄い茶髪。

長さは、肩に着くか着かないか程度だ。

蜂蜜色の大きなつり目を持った細身な青年。

口は呆れたように開かれ

眉間の皺は不機嫌を滲ませている。

一方、朔夜と呼ばれた少女は

オレンジレンガの様な色をしたストレートの髪を

ピコピコと跳ねかしながら

つまらなそうな顔をして青年に抗議している。

表情を歪めた事により細められた瞳は

ワインのように深く

しかし、酷く澄んだ色をしている。

彼女の名は吼龍 朔夜(コウリュウ サクヤ)。

吼える龍とて、彼女は龍ではない。

頭に生えている獣の耳は

猫そのもの、である。

青年の名は緋崎 雫(アカザキ シズク)。

犬だ。

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