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悲鳴を上げて男がその場にずるずると倒れこむのを確認すると、今度は虎間にやられたもう一人がこっちに向かってくる。
今度はナイフを持っていなかったけど、目が血走っていて何やら分けのわからない言葉を口走っていた。
男があたしに向かってくると同時に、あたしは運転席のドアを勢いよく開き、力いっぱいそいつの体にドアパンチを食らわせてやった。
強烈なドアのパンチを食らって男はうめき声を発する間もなく、地面にずり落ちる。
あたしは両手を叩いて、埃を払う仕草をし、ボンネットの上で呑気にあぐらをかいてる虎間を見上げた。
「降りてこいよ」
あたしの言葉に虎間は笑みを浮かべ、逃げることもせず素直に従った。
立ち上がり、飛び降りようとする。
虎間の足が浮いたのを確認して、あたしは拳を構え勢いをつけて殴りにかかった。
ガッ!
短い音がしてあたしのパンチは虎間の脚によって阻止された。
右足はちゃんと地面に着いて、左足をまっすぐに伸ばしあたしのパンチを受け止めている。
虎間の脚と、あたしの腕がきれいに交差していた。
じん――っと腕に痺れを感じる。
重い!!
こいつ……やっぱ脚がいい。
「いいパンチしてんなぁ。でも、四割…いや三割程度やろ。あんたの力はこんなもんやあらへんな」
虎間は脚であたしの腕の感触を確かめるようにちょっとだけ左右に振った。
「あんたもだろ?本来の力の三分の一も出してねぇんじゃねえか?」
虎間はくっと笑った。