。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
依然、乏しい明かりの中で虎間の顔は見えない。
互いが、互いの力量を探るように少しも動かずに牽制し合う。
虎間の伸ばした脚のせいで、あたしは一歩も近づけなかった。
そう、これが奴の間合いだ。
長い脚が憎らしいぜ。
でも詰めた距離で一つ気づいた……
こいつ、意外と若い。きっとあたしと同じぐらいの年齢だ。大学生……いや、もしかしたら高校生かもしれない。
「正体を現せってんだ!」あたしは怒鳴った。
「そうはいかんのや。男は秘密が多いほうがかっこええやろ?」
あたしを茶化すかのように笑うその言葉に余裕を感じた。
「余裕ぶっこいてんじゃねぇ!」
あたしの言葉に虎間はまた低く笑った。
「何がおかしい!?」
「ほんま噂通り、血の気の多い娘さんやなぁ思うて」
「う、噂ぁ??」
どこで噂が流れてるんだよ!!ってか誰だ!?噂を流した奴ぁ!?
「お、お前は!もっと凶悪で残忍だって噂が流れてるけどな」
「そら嘘やわぁ。だって俺平和主義者やもん」
ど!どこがっ!!この状況で平和主義者を語る!?
「それよりええの?お連れさん、さっきからずっと震えてるけど」
虎間はリコの方をちょっと指差した。
リコ!!
あたしはリコに顔を向けた。
その瞬間だった。