。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
何者!?
「さっすが朔羅やなぁ。ほんま笑わかしてもろたわ。吉本よりウけるで」
この関西弁。
独特の低い声。独特のリズム。
まるで空気をも引き裂くような、殺気。
虎間―――――?
「な、何言ってんだ!こいつ!!マジでぶっ殺されてぇのか!!!」
ナイフを突きつけていた男が叫んでぐいと腕を上げた。
てかその声全然怖かねんだよ。
それよりメガネが―――
「あんたら龍の逆さに生えとる鱗って知っとるか?あれに触れるとみぃんな死んでまうんやで。
お前らどうやら眠れる龍を起こしちまったようやな」
「な、何言ってやがる!!」
男が勢い込んだ。
メガネは俯いたまま低く笑っただけ。
「でも龍がキレる前に、俺がいてこましたる。大人しいやられとったら諦めるんかと思うたけど、女に手ぇ出す奴は許さへんで。
俺、久々にどたまきたんや」
口調は静かだった。
でも、どこにそんな恐ろしいほどの殺気を押し隠していたのかと思うほど、こいつの周りはぴりぴりと殺気立っていた。
それは触れれば簡単に切れてしまいそうなナイフの切先ようだ。
メガネがゆっくりと顔を上げる。
その顔にはあたしの知ってる柔和なメガネの姿はなく、
鋭い視線を宿した目と、勝気に歪んだ薄気味悪い笑顔を湛えていた。