。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。

「あ~…こんなところまで走ってきたのかぁ」


と戒がのんびりと言う。


「か、戒!!引き返そう!!」


あたしは戒の襟元をぐっと握った。


戒はあたしに掴まれた手にやんわりと自分の手を重ねてくると、


「何で?せっかくだから入っとこうぜ♪」なんてにやりと不敵な笑みを浮かべる。


「じ!冗談じゃねぇ!!」


あたしは顔を真っ赤にして怒鳴った。


どういう神経してんだよ!!!


「だって引き返したらまた補導員に捕まるぜ?だったらここら辺で身を隠して方が安全だ」


「他に身を隠す場所なんていくらでもあるだろ!?」


「例えば?」


「か、カラオケとか…?」


「カラオケだって補導員が居ないなんて保障はないぜ?」


う゛!まぁ確かに。


「ここだったら部屋に入っちまえば、誰も入ってこれねぇから、安全ちゃ安全だけど?」


戒がホテル街の奥を指差した。


そしてちょっと不敵ににやりと笑う。


「もしかして怖いの?俺が何かするかって」


カッチーン!







「怖かねぇよ!!ホテル上等だ!かかってこい!!」






腕を組んで仁王立ちになって叫んだ後で、あたしは、はっとなった。



しまった―――!!




こいつの挑発にまたしても乗ってしまった!!!







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