。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
「はぁ~やっぱ龍崎くん居ないと寂しいね~。大丈夫なのかなぁ?」
と校門まで歩きながらリコが呟いた。
「大丈夫だよ。あいつぁゴキブリ並の生命力だからな。そう簡単に死なねぇって」
「朔羅、あんたホントに龍崎くんの彼女なの??」リコが疑いの目で見てくる。
「だって暗くなったって仕方ないじゃん。こういうときこそ明るくしなきゃ」
「そうだぞ、リコ!あいつの心配なんてする必要なし!!」
あたしはリコと顔を合わせて同じように隣を歩く千里をちょっと睨んだ。
こいつは違う意味で、心配してなさそうだ。
ホントは心配。
今日一日は戒から何の連絡もない。こっちからしていいのか分からず、そのままになってしまった。
「あのっ!龍崎さん!」
背後から女の子の声が聞こえて、あたしたち三人揃って振り向いた。
マドンナ新垣 エリナが両手で鞄を持ち、息を切らして突っ立っていた。
この子……確か前、戒に告白してた子……
「あの!龍崎くん入院ってホント!?大丈夫なの!?」
大きな目を心配そうに曇らせている。
戒が入院しているということは、どうらやあいつが病院に担ぎ込まれたその日に担任からそういうことが発表されていたらしい。
噂はあっという間に校内を駆け巡り、あのキモ金髪野郎も入院してることを知っていた。
あいつも見舞いに行きたいとほざいていたが、あたしはきっぱりと断った。
「えっと……うん。ただの胃炎だろうって…」
「胃炎……そうなんだぁ。良かったぁ」
マドンナはあからさまにほっと安堵したようにため息を吐いた。
マドンナ……本気で戒のこと、心配してるんだろうな。
可愛くて女らしい上、すっげぇ優しいときてる。こんな女の鑑みたいな子より、あたしみたいながさつな女を選んだ戒の気持ちが分からねぇな。
マドンナはもじもじと手を合わせると、
「ねぇ龍崎くんのお見舞い行ってもいいかな?」
と遠慮がちに聞いてきた。