。・*・。。*・Cherry Blossom・*・。。*・。
広いリビングに通されて、大きな革張りのソファに腰掛けるよう勧められた。
「ケーキあるんだ。食うか?お前の好きないちごタルトだぞ」
にこにこ言って、叔父貴はケーキの箱を掲げた。
「ケーキ!食う」
「さっき鴇田に買いに行かせたんだ。お前の好きなラ・プレーリーのケーキだぞ」
あぁ……それでさっき下に蛇田が居たんだ。
あいつ、叔父貴の秘書じゃなくて、執事みてぇだな。
どのみち忠実な僕(シモベ)に過ぎないんだけど。
叔父貴はケーキを食べる代わりに、タバコを一本取り出し火をつけた。
タバコは好きじゃねぇけど、タバコを吸う姿も様になってる叔父貴にうっとり。
そんなことを思いつつも、出されたケーキを一口。
「うっまい☆」
思わず口元が緩む。
「喜んでもらって良かったよ。そうそう、お前に渡したいものがあったんだ」
そう言って、立派なサイドボードの引き出しからきれいに包装された箱を取り出す。
「朔羅に」
優しく微笑んで、あたしに手渡してくれる。
「え?あたしに……?」
ドキンっとした。
色んな意味で。だって箱を開けたらチャカ(拳銃)とか普通にありそうだったし。
もちろん、そんなこと今までに一度もないけど。
それほど危険人物なんだよなぁ。あたしには優しいけど。
バリバリッ
あたしはケーキをそっちのけで、包装紙をアメリカチックに破いた。
「相変わらず、豪快だな」叔父貴が思わず失笑する。
しまった!もっと乙女チックにきれいに開ければ良かった!
って言っても今更ぶりっ子のキャラを演じれないし。
ま。いっか。
叔父貴が楽しそうだから。
白い箱が出てきて蓋を開けると―――
ケータイだった。