唇にキスを、首筋に口づけを



・・・仕留めた!




俺は絶対にあたる、



と確信できた。





なのに、




「!?」




・・・嘘だろ・・・!?




俺はすげぇ目を見開いた気がする。




避けたんだ、




あの、銃弾を。




こっち向かないで走ってんのに、




どうして・・・。





なんつー瞬発力だ、




なんて呆気にとられてしまったんだ。




そんな時、




驚愕のあまり俺の重心がズレた。




・・・やべぇ、




俺は自分が事故る映像が簡単に想像できたんだ。




ただでさえ、





エンジンふかして片手でバランスとってんだ、




やべ、俺、死ぬ・・・。





そう思って身構えた時だ。





「・・・ッ!」




何かに引き上げられた感触がしたんだ。




「・・・っぶねーな!」




そんな聞き慣れた声が耳元で聞こえてさ。





あ・・・?




俺、生きてる?





・・・しかも、痛みも何も感じない・・・。





俺はその時、




仲間に救われたのだと感じとることができたんだ。




「・・・俺、生きてるよ」




気付かぬうちに、



俺は地面に足をつけていた。





仲間がバイクに腰かけていることから、





どうやらバイクに乗りながら彼は俺を引き上げたみたいだ。





近くでバイクが音をたてながら倒れている。





「ああ、生きてるよ。



何してんだ、



この狩人のホープが」





呆れた顔でそう言った。




「・・・ごめん」




俺はそのとき素直に謝った。




「今日は退散だ。



雨も強ぇし、


アイツは取り逃がすし・・・」




彼はヤツが逃げて行った方を見た。





「・・・しとめられなかった・・・」




「お前がしとめらんねーなら、


俺もしとめらんなかったから。」




そう言うと彼はバイクをたてなおし、



そのまま俺達は来た道を戻ったんだ。
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