唇にキスを、首筋に口づけを
まさか、かなりの時間が経っていたなんて知らなかった。
いつも帰宅する時間を大幅にオーバーしていて。
帰ったらゆりなは泣きそうで。
正直、焦った。
ゆりなが泣くのも無理ねぇか、
と思っていた。
いつも、一人で待っているんだから。
俺はシャワーを浴びながら考えていた。
・・・言うか、言わぬか。
家族なんだ、
理由は話すべきだと思う、
なんて思ったけど、
そんなこと言ったらゆりなはついて行きたいって、
絶対に言ってくる。
だから、言わない、
って判断した。
俺が、倒せないヴァンパイアがいたなんて、
俺が、仕留められなかったなんて、
言わない。
俺はゆりなに心配かけたくない。
ゆりなを危険に晒すようやことは絶対にしない。
俺は絶対にゆりなを守ると決めたんだ、
15歳のあの日から。
自分の命に変えてでも。
―爽哉side―End