唇にキスを、首筋に口づけを
「ゆりなのこと、
本当に好きだ・・・。
愛してる・・・。」
そう言って、爽哉は私の唇に、キスをした。
私は動けなかった。
目を閉じることさえ、できなかった。
触れている唇に微かに体温が伝わって。
まだ、爽哉は生きてて。
数秒も経たないうちに、
爽哉はパタリと倒れてしまった。
・・・。
・・・。
私はしばらく硬直してしまった。
いやだ、いやだ、いやだ。
「いや・・・!!!
やだよ!!爽哉!!!!」
私は爽哉を抱きしめようと手を伸ばすも、
「ゆりなさん離れて!!!」
そう結界師の子が止血を始めて。
救護班がやってきて、爽哉を運んで行ってしまって。
うそだうそだ嘘だ。
全部嘘だ。
やめて、やめてよ、なんで、どうして。
なんで、なんで、
最後の力を振り絞ってまで、
私に告白をして、キスをしたの・・・?
いやだ、どうして、
爽哉がいなくなるなんて考えられないよ・・・!!!
頭痛がする。
私は頭を抱えてその場にうずくまる。
「いやだよ・・・
爽哉、逝かないで・・・」
それからその場でずっとそうしているお、私は精神不良と思われ、
仲間たちに抱えられ、下山させられ、家に帰らされた。
一人、誰もいない家で。
その後は通夜、葬式が営まれた。
爽哉は病院で、一度心臓がうごきだしたものの、
またすぐに、止まってしまったのだ。
たくさんの、参列者に送られ、
爽哉は逝ってしまったのだ。
「優秀な人材を、人間界は失ってしまったな・・・」
人々は、そんな声を掛けながら。
どうも、通夜葬式の際は実感が失われていた。
ひょっこり、爽哉が出てくると思って。