唇にキスを、首筋に口づけを
ソファーに沈みながら、
妙に紙が擦れる音が響いたな。
遺言書の中身は財産のこととか。
なんだ、これだけかって。
思ったら、
「・・・ん?」
封筒の底から、
厳重に封がされてる手紙が出てきた。
・・・何、これ。
ポカン、って感じだったと思う。
私は裏返してみたりして。
開いてみれば、綺麗なお母さんの字で、
“爽哉くんの家の押し入れの底を見て"
ってあって。
私はすぐに立ち上がった。
もう、食らいつくみたいな感じで押し入れ開けてさ。
そこには不思議な、厳重に封がされた封筒が二つ。
一つに書いてあるのは、
ゆりなへ、もう一つは爽哉へ。
私は爽哉に一つ渡して、すぐに封を開けた。
それは手紙だったんだよね。
今も、大事に保管しているよ。
――――ゆりなへ
ゆりな、今、あなたがこの手紙を読んでるってことはこの世にお母さんとお父さんがいない、ってことなんだね。
ごめんね、どっか逝っちゃって。
遺言書も読んだと思うけど、
お母さんとお父さんは遺言書と一緒にこの手紙も5年経ったら書き直すことにしているの。
この手紙を書いてるとき、
ゆりなは10歳だよ。
今は何歳かな?
・・・と、本題に入るね。
お母さんとお父さんの職業については知っていると思う。
お母さんは結界師で、
お父さんは狩人。
これからゆりなにやって欲しいことを書くね。
まず一つ目はお母さんが死んだ、ってことを結界師の仲間に伝えて欲しいんだ。
パソコンのメールで、
アドレスとパスワードは爽哉くんの家の食器棚の三段目の裏に張り付けてあるから。
二つ目は、
頼みたいことではないんだけど、
お母さんの仕事を継いで欲しい。
もし、決心がついたらさっきのアドレスに、
そうなることを書いて。
ゆりなは結界師の遺伝子、あるみたいだから。
とてもじゃないけど、こんな仕事したくないよね。
10歳のゆりなは学校の先生になりたい、って言ってたから。
お母さん達の死因がどうか知らないけど、
この手紙を読んでることからして、
もしかしたらヴァンパイアに殺されたんじゃないかな?
お母さんとお父さんは、私達・・・人類の敵を絶滅させたいと思ってやってきたの。
もし死んじゃったら天国で、すっごい結界張ってやろう、とか考えてるから。
・・・ここで1枚目は終わっていて、2枚目に入った。