lucky×unlucky


篠宮さんは何個か取り出したあと、まだパンの入った袋を返してきた

「え?それだけでいいの?」

「こんなに食べれないわよ…それにこれ、山本の分も入ってるんでしょう?」

はい、と渡された袋と篠宮さんが持っているパンを見つめながらふと思う

メロンパンにチョコクロワッサン
甘いものが好きなんだ…

そんな些細な発見が嬉しくて俺も思わずありがとーって言ったら篠宮さんは困ったような顔をしたあと、下を俯いてゆっくりと目を閉じた

あれ…怒ったかな~…なんて思いながら
呑気に空を見上げてうーん…と伸びをする

一天の曇りもない澄んだ空

ふわりと春の暖かな風が通りすぎ、その気持ちよさに口許が緩む

チラリと篠宮さんをみれば

目を細め、きゅっと口を固く結んで何かを堪えているような顔をしていて

ポツリ…と

「…日向…」

聞こえるか聞こえないかのとても小さな声でそう呟いた


「………」

ひなたって…人の名前…?

その言葉の意味は分からないけれど

どうしてそんなに辛そうな顔をしているのだろうと気になったが

聞いたところですんなり教えてくれるほど親密な間柄ではないと思い、再び空へ視線を移した



さっきより空が淀んで見えるのはきっと気のせいだと思う


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