姉妹

善蔵はまた咳き込み始めた



美紅は止めようとしたが、善蔵が制止した



「美紅に頼みが、ある……」



「なに?おじいちゃん。私何でも聞くわ」



美紅は必死だった



次第に声が咳に阻まれて途絶えていくのが分かった



美紅は咳をかき分け、少しでも善蔵の本当の声を聞こうとした



「ゴホッゴホッ


ゴホッ



晴樹君を、呼んでくれ…」





「晴樹?」




美紅は不思議に思ったが、急を要するためとりあえず晴樹を呼ぶことにした



「分かったわ。ちょっと待っていてね」




そうして早足で玄関に投げ捨てたカバンを取りに行った



その後ろ姿は誰よりもたくましく


強く


美しかった




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