姉妹
「美紅ー!!」
毎朝のごとく美月は朝食に迎えに来た
ただ下に降りるだけなのだけれど、祖母の待遇もあってのことだったのだろうか、美月はもう長いこと美紅を朝食に誘っていた
「姉さまおはよう」
「もう美紅も!いい加減晴樹君と約束して学校行けばいいのに!」
「あ」
「え、もしや約束したの?」
「忘れてたわ」
本当は忘れてなどいなかった
けれど自分から言うのはなんとなく恐かったから美月が葉っぱかけてくれるのを待っていたのだ
そんな自分のずるさを美紅は心底いやだと思ったけれど、仕方のないことなのだと無理やり納得させた
…自分は臆病なのだから、と
「じゃあ、今日は学校に一緒には行けないわね」
「姉さまも一緒に」
「どう考えても私は邪魔だわ」
あはは、と快活に笑った顔にどこか胡散臭さを感じてしまう自分が美紅はもっといやになった
「だから今日は二人で行ってきなさい」
“今日は”と美月姉さまは言ったけれど、本当はもう一緒に行くことは永遠にない気がする
…美紅はそう思ったが、それでも何も言わなかった