姉妹
「美紅に不幸になってほしいわけじゃない。あの子はもう十分すぎるくらい今までが理不尽に不幸だった。もうこれ以上あの子が背負っていいわけないのよ!でも、」
「でも?」
美月はすでに涙が出ていた
止めることは出来るはずもなく、拭くこともなく流しっぱなしにしていた
「でも、私たちは二人で一つだから、あの子の幸福の大きすぎる部分は私に帰ってくるのよ。今まで私がずっとずっと幸福な愛された子だったから、美紅が苦しいときに分けてあげなかったから、あの子が可哀想な目にあっていたとき、なんてかわいそうなの、私が心配してあげなくちゃって作り物の優しさを振りまいて高いところから見下ろして満足していたからよ!!」
私なんてどこも良い人間じゃないのに
思いやりのかけらもない最低の人間だ
自分が幸せになるためなら唯一の妹を簡単に踏みにじることができてしまうのだ
同じ顔をしているのに、ツケが返ってくることも考えずに
美月は声をあげて泣いていた
「思いっきり泣いておきな」
和也はそっと美月を抱き寄せ、泣き止むまでずっと頭を撫でていた