姉妹
美月はどうしようもない焦燥感とある種の諦観を抱いていた

また繰り返してしまう

美紅を取り巻く状況は確実に悪くなるだろう

分かっていたのにまた止められなかった・・・

しかし今回は七年前とは違うところがある

前回は美紅は予期せず不幸に見舞われた

それによって美紅は「自分」をよく分かっていたはずだ

今回は自らの意志でやったことなのだ


だから、

私は美紅のしたことを、意志を受け入れなければならない

だから、


「そこまで言うなら分かったわ。もう口出ししない。」

美紅は聞き取れるか微妙な小さい声で「ありがとう」と呟いた

「でも、美紅がどうしようもなく大変な時は助けに行くわ」


それだけ言うと美月は踵を返して教室から出た

心残りがないわけではない

でも今が「その時期」なのだ

機が熟した、それだけのことだ


「有栖川さん、私は一人で戦うわ」

美紅は言葉に出すことで状況を確認し、決心した


もう姉さんは頼れない
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